パルミジャーニ・フルリエの「オブジェ・ダール」コレクションより、創業者ミシェル・パルミジャーニの原点へのトリビュートとしての新たなる記念作品、「OBJET D’ART L’ARMORIALE」が誕生。
昨年末に上野の東京国立博物館 法隆寺宝物館を貸し切って開催されたパルミジャーニ・フルリエの展示会『Master Your Time』の模様と併せて掲載します。
まずは工芸美を尽くした「ラルモリアル」をブランドからのプレスリリースを引用してご紹介。
L’ARMORIALE~懐中時計
「ラルモリアルという懐中時計は、ただ個性的であるだけではありません。メゾン·パルミジャーニ·フルリエの傑作であり、ある人の非凡な才能の物語、熱意、そして卓越性を内包するものであります。時として、ウォッチメイキングは時間を超える真の芸術作品になり得ることを、この懐中時計は教えてくれます。この傑作はパラッツォ·テの迷宮へと私たちをいざない、ルネサンスのエッセンスを感じさせ、ミシェル·パルミジャーニの類まれな旅を賞賛するものです。」グイド·テレーニ(パルミジャーニ·フルリエCEO)
このプロジェクトのインスピレーションは、グイド·テレーニがイタリア北部を旅したことから生まれました。この旅では、ミシェル·パルミジャーニの原点を探すことと、地域の建築を見て回ることが目的でした。その中で訪れたのが、ミラノ·ジェノヴァ·ベニスを戦略的に結んだマントバのパラッツォ·テ。
ルネサンス期に建てられ、当時の職人たちによって細部まで装飾がなされた王族の宮殿は、グイド·テレーニに深い感銘を与えました。特に宮殿内の「巨人族の間」は、ルネサンス、建築、自然、そして黄金比などの要素を組み込み、ミシェル·パルミジャーニが情熱を注ぐことに通じるものがあります。ここで受けた感銘を具現化することが自然なことのように感じ、この度の作品の構想が生まれました。二次元的な原画の表現を超えて、懐中時計にはすべてのディテールに対して三次元的に見直し、思慮深い再考を重ねることとなりました。
IWC スーパーコピージュリオ·ロマーノ(1499年 – 1546年)/『巨人族の陥落』(1525年 – 1535年制作)フレスコ画
イタリア·マントヴァ、パラッツォ·テの「巨人の間」
細部に渡る配慮と注意深さをもって製作された真の芸術作品として誕生したのが、この時計です。ミシェル·パルミジャーニは、つねに非凡な職人技に敬意を払っています。伝統的に「黄金の手(Mains d'Or)」と呼ばれる職人を集め、これらの優れた工匠が持てる技術を注ぎ込み、ラルモリアルが完成したのです。それぞれの職人が、ケースの複雑な彫刻、ケースバックの繊細なエナメル細工、チェーンの細部にわたる加工など、それぞれの分野の専門技能を持っています。
世紀をつなぐ架け橋
この懐中時計の中心には、「A. Golay Leresche & Fils in Geneva」とサインされた1890年製の機械式ムーブメントが搭載されていて、クロノグラフとミニッツリピーター機能を駆動します。ルネサンス建築のエッセンスが見られる、まさしく歴史の断片です。ミシェル·パルミジャーニは、この機械式ムーブメントを、クォーツ式の登場による絶滅の危機から救い出しました。
ミシェル· パルミジャーニは、1 9 8 5 年に自身のアトリエであるPMAT(Parmigiani Fleurier Mesure et Art du Temps)で、このムーブメントを修復し、パーペチュアルカレンダーを追加しました。そして今日、ムーブメントはクロノグラフとミニッツリピーター機能、光輝く空を表現するアベンチュリンダイヤル、その上を手打ち加工されたホワイトゴールド製の月が巡るムーンフェイズ、パーペチュアルカレンダーを搭載します。ラルモリアルのムーブメントは、ラグジュアリーウォッチメイキングの本質である伝統と革新のバランスを体現しており、世紀をつなぐ架け橋となります。
ラルモリアルのムーブメントは、2.5Hzの周波数で1時間に18,000回の振動数を刻みます。センターセコンドクロノグラフに加えて、1時間、15分、1分単位でオンデマンドで時刻を知らせるミニッツリピーターを搭載しています。
歴史的、特徴的に他に類を見ないキャリバーは、すべての基本的な機能と、時計芸術に特有の複雑さを統合しています。ギアや細部にまで彫り込まれ磨かれたブリッジなど、ムーブメントのあらゆる要素は、パルミジャーニ·フルリエの職人技術の熟練の証です。
ラルモリアルのムーブメントは、機械式時計の枠を超越します。搭載されているのは、パルミジャーニ·フルリエの魂と卓越性であり、細部にわたり修復そして昇華された傑作であり、大いなる遺産です。すべての部品、すべてのディテール、そしてすべての複雑機構は、この時計が秘めた魅力的なストーリーを語ります。
時計学的な調和:芸術、技術、気品の表現
モルダントブラウンカラーの壮麗なダイヤルは、「メッゾ·ヴィブラート」をテーマに繊細に彫刻されていて、職人技、芸術性、技巧が混ざり合っています。ダイヤルの周りに彫られたリングの優雅なパターンは、ケースとラグを飾るアーモンドのモチーフと同一です。ホワイトゴールドのカウンターは、精巧に彫られた細いリングが縁取り、全体の構成にとても繊細なタッチを加えています。
【技術仕様】
ラルモリアル
L’ARMORIALE
Pfh993-2010001-200100
ユニークピース
[機能]
時、分、スモールセコンド、ミニッツリピーター、
クロノグラフ、パーペチュアルカレンダー
[針]
時、分 :18Kホワイトゴールド製、オープンワークのデルタ型
秒、カウンター :18Kホワイトゴールド製、バトン型
クロノグラフ :ブルースティール
[チェーン]
18Kホワイトゴールド、すべてハンドワーク
・35個のスクエア型と33個のオーバル型のリンク、面取りとポリッシュ仕上げ、
・1個のPFロゴが彫刻されたオーバルリンク
・長さ:300 mm
[キャリバー]
PF993 – オリジナルムーブメントはゴレー·ルルシュ&フィルズによりジュネーブにて製造。
製造番号19052。
手巻き、時針、分針、スモールセコンド、ミニッツリピーター、クロノグラフ、パーペチュアルカレンダー
パワーリザーブ :30時間
振動数 :18,000振動/時(2.5Hz)
石数 :29
部品数 :375
直径 :40.9 mm
厚さ :11.1 mm
装飾 :ハンドワークの面取り、彫刻されたブリッジとプレート
[ダイヤル]
カラー :ブラウンカラー加工の18Kホワイトゴールド製
仕上げ :ラルモリアルのテーマの彫刻、長方形のアワーマーカー
・18Kホワイトゴールド製アプライドPFロゴとカウンター
・ムーンディスク :アベンチュリンの空と手打ち加工された18Kホワイトゴールド製の月
[ケース]
18KホワイトゴールドPD210製、ラルモリアルのテーマの彫刻とポリッシュ仕上げ、レピーヌポケットウォッチ
直径 :58.2 mm
厚さ :17.5 mm
リューズ :9.5 mm
ボウ :手彫り装飾
ガラス :反射防止加工、ドーム型サファイアクリスタル
ケースバック :ポリッシュ仕上げのドーム型、ラルモリアルのテーマの彫刻、
半透明のイエロー、ブラウン、レッドのグラン・フーエナメル
防水防塵機能
L’ARMORIALE MASTER
エナメル職人 ヴァネッサ·レッチ
ラルモリアルのエナメルアート
ラルモリアルの芸術性には、エナメル職人のヴァネッサ·レッチの技術と感性が特に際立っています。ディテールに執心するクラフツマンシップと、エナメル技法における豊富な経験が、この時計のすべての面をタイムレスな芸術品に仕立てあげています。
18Kホワイトゴールド製のケースバックは、荘厳なグラン·フーエナメルで彩られています。マントバにあるパラッツォ·テの床面のモチーフ画が綿密に彫り込まれ、ひとつひとつの彫りには半透明のエナメルで色が付けられています。彫り込まれた形状やその深さの違い、エナメルの透明性と光の反射によって、繊細なニュアンスと特徴的なテクスチャーが生まれ、美しさに深みが増します。
ラルモリアルの背面を飾るエナメルの色調は、検討を重ねたパレットからさらに選抜された、イエロー·レッド·半透明のブラウン。パラッツォ·テを所有するゴンザーガ家の紋章をテーマにしたカラーは、時計に芸術的ゆたかさを与えます。それぞれの色調は完璧なバランスで、調和の取れた視覚効果を生み出します。
グラン·フーエナメルは緻密なアートです。温度管理とテクニックには、熟練が必要です。エナメル職人の熟達した職人技によって、伝統的なクラフツマンシップから現代の傑作を生み出します。
パルミジャーニ·フルリエのラルモリアルは、手がけたエナメル職人の並外れた技術を物語っているのです。グラン·フーエナメルは太古の芸術であり、パルミジャーニ·フルリエはこの伝統的な技法を保全するために献身する姿勢と必要となる才能を保有しています。 ラルモリアルは時計芸術の粋であり、ウォッチメイキングの伝統と現代的な芸術表現の調和を体現します。
L’ARMORIALE MASTER
チェーンメーカー ローラン·ジョリエ
ラルモリアルのチェーンの芸術
懐中時計ラルモリアルのチェーンは、熟練のマスターチェーンメーカーであるローラン·ジョリエの作品です。ローラン·ジョリエは絶えつつある技能の、最後の継承者のひとりであり、稀少な作品を生み出します。
ローラン·ジョリエとパルミジャーニ·フルリエのチームは、協働でラルモリアルのデザイン全体とチェーンの完璧な調和を追求しました。チェーンのモチーフは、ウォッチケースとラッチの彫刻のパターンを反映していて、優雅な連続性を生み出さします。
チェーンは手作業で、細部にわたって極めて精密に加工されています。ひとつひとつのリンクは、パルミジャーニ·フルリエ特有の美観とスタイルを保ちながら、最大限の柔軟さと耐久性を確保するため慎重に設計されました。
重力に従って優雅に流れる良質で繊細なチェーンには、職人の熟練度が表れています。それは、ラルモリアルに気品を与える要素です。
ジョリエの仕事は、パルミジャーニ·フルリエが使命とする真正芸術と貴重な工芸の保全の活動そのものです。現存する数少ないチェーンメーカーとして、彼のラルモリアルへの貢献は、作品のユニークかつ貴重な側面を表します。
L’ARMORIALE MASTER
彫刻師 エディ·ジャケとクリストフ·ブランドニエ
ラルモリアルの彫刻芸術
ミシェル·パルミジャーニの誕生日を記念して誕生したラルモリアルの中核には、並外れた複雑さと美しさを兼ね備える時計芸術が宿っています。繊細な彫刻を手がけたのは、熟練の彫刻師であり、国際的に知られるアーティストであるエディ·ジャケとクリストフ·ブランドニエです。
ラルモリアルの18Kホワイトゴールド製のケースは、毎年ミシェル·パルミジャーニの誕生記念につくられるオブジェ·ダールコレクションに特徴的な、メゾン独自のモチーフを継承しています。
このケースを手がけたのは、クリストフ·ブランドニエです。ハンドルを横断するパターンは、奥行きとテクスチャーの視覚効果をもたらします。すべてのディテールはとても精密に、手作業で彫り込まれており、クリストフ·ブランドニエの彫刻芸術の卓越性を示しています。
ラルモリアルのケースバンドは、それ自体が彫刻の傑作です。そこには、細かく磨かれた刻みと、ゴールドに彫られたパルメットが飾られています。ケースバンドのすべての面が絶妙な精密さで仕上げられていて、クリストフ·ブランドニエが作業工程を通して徹底させる、ディテールへのこだわりを示しています。
彫刻師の技は、ラルモリアルのダイヤルにも見てとれます。作品全体に気品を与えるのは、「フローレンス」モチーフのエングレービング。精密に仕上げられた装飾の要素は、それぞれがダイヤルのタイムレスな美しさを演出します。
細部への配慮は、ミニッツリピーターを始動するラッチにも行き届き、ミドルケースと同様に可憐なエングレービングと完璧なディテールで完成されています。ペンダントとリューズのエングレービングも併せて、作品全体の優美さを際立たせています。
ラルモリアルのケースのエングレービングは、 オーデマ・ピゲ スーパーコピー『岩を打つモーセ』という旧約聖書の一幕を描いた、オートマタのフィギュアが動く懐中時計から着想を得てデザインされました。ゆたかさと奥行きを与える装飾的なモチーフによって、極めて芸術性の高い懐中時計が誕生しました。
L’ARMORIALE
黄金の手
[パルミジャーニ・フルリエ]
時計師であり修復師である創業者ミシェル・パルミジャーニのを冠した時計メゾンは、1996 年にスイス、ヴァル・ド・トラヴェールのフ ルリエに誕生しました。時計製造に関わるすべての会社をグループ内に保有し、95%以上を自社で製作するマニュファクチュールです。そ のため、製造工程の隅々までが自社でコントロールされ、またグループに属さない独立性を大切にし、自由な創造を可能にしています。パ ルミジャーニ・フルリエの個性の根幹となる過去の傑作の修復の仕事は、遥かな未来においても修復するに値するタイムピースを生み出す 原動力となっています。それは、過去の作品から大胆に未来をつくりあげるマニュファクチュールとしての試みであり、自然、黄金比と共 に枯渇することのないインスピレーションの源です。